未来の音に耳を澄ませば
はじめに
私は先日、留学が中止になったことについての考えを綴りました
私を叶えるための物語 - 一握の光itakana777.hatenablog.com
しかし、ここでは「留学が中止になってもそこまでのことは無駄じゃないよね」という話しかしていません
でもさ
そもそも、中止の展開にする必要あった?
当然の疑問ですよね
では、考えてみましょう
「私」って、なんだ?
はい。
「私」って、なんでしょうね。
気が狂ったわけじゃないですよ。身構えないでください。難しい哲学の話とかそんなんでもないです。
ここでの「私」とは、「私を叶える物語」の「私」のことです。
そもそも、この物語では「みんなで叶える物語」と「私を叶える物語」が同時に進行しています。
「みんなで叶える物語」とは、喜びを目指すお話
「勝って、ここにいるみんなを笑顔にしたい! 『やった』って、みんなで喜びたい!」
これこそが彼女たちが見つけた夢です。
「私を叶える物語」とは、澁谷かのんの夢のお話
「歌でみんなを笑顔にしたい!」
これこそが彼女の小さい時からの夢です。
そして今回の留学は「私を叶える物語」に舞いおりたチャンスでした。サブタイトルにもなっていましたね。
じゃあ私を叶える物語は澁谷かのんの夢を叶えるだけの物語なのか?
うーん、それはなんだか違う気がします。
では、「私」とは?
澁谷かのんのことでしょうか?
伊達さゆりのことでしょうか?
Liella!の一人ひとりのことでしょうか?
きっと、どれも間違いではないですが、正解でもないでしょう。
「私」とは、「夢に向かって踏み出した人」のことなのではないでしょうか。
「私を叶える物語」とは、夢に向かって踏み出した「私」に夢路の歩き方を示す、そんな物語なのではないでしょうか。
というのも、我々は初めから「私」の存在を知っているはずです。
「私を叶える物語」というコンセプトと共に、スーパースターの名前が出るより前、始まりからあったもの
そう、一般公募オーディションです。
スクールアイドルに憧れたとして、その衝動から導かれる選択肢は、大きく分けて二つあります。
実際、このオーディションの受験資格がある人たちの中でもそれぞれが存在したでしょう。
それは、
「スクールアイドルになりたい」と思う人と、
「スクールアイドルを応援したい」と思う人です。
それこそが「私」と「あなた」の分岐点なのではないでしょうか。
そしてスクールアイドルに限らず、勇気を出して夢に向かって踏み出した人
そのみんなが「私」なのだと思います。
すべての「私」へ
澁谷かのんは歌が上手い。
澁谷かのんは才能がある。
だからチャンスが舞いおりた。
それを掴んで夢を叶えた。
えぇ、それは素敵な物語でしょう。
一度は挫折した才能ある若者が、もう一度前を向き、大きなチャンスを見事掴み取り、夢を叶える。
素晴らしいサクセスストーリーです。
しかし、ラブライブはそれを許しません。
才能ゆえのチャンスを否定します。
そう、留学中止です。
これは私を叶える物語の否定でしょうか?
いいえ、むしろその逆。肯定でしょう。
残酷な話ですが、一般公募オーディションには不合格者も多く存在したはずです。
もし、このまま澁谷かのんが限られたチャンスを手にして夢を叶えて終わっていたら、その人たちの否定になってしまうのではないでしょうか。
みんな等しく夢に踏み出した「私」なのに
大きな勇気を振り絞った「私」なのに
あなたは選ばれなかった。だから叶いません。
そんな残酷な話がありますか?
選ばれた者、伊達さゆりと青山なぎさと鈴原希実
彼女たちだけを肯定する物語
そんなものをあの世界は望みませんでした。
これは、すべての「私」に捧ぐ物語です。
夢に向かって踏み出すその一歩を、ラブライブは肯定し続けます。
たしかに、夢とは残酷なものです。
「私に勝って、他人の夢をあなたは奪ったのよ!」
そう、悲痛な叫びを上げる少女がいましたね。
夢とは、みんながみんな叶えられるものではありません。
諦めなければ夢は叶うだなんてキレイゴト、あんなの嘘っぱちです。
それでも
諦めなければ、きっと。
そう願うことは、いけないことでしょうか?
そんなはずがありません。
澁谷かのんは、今回大きな勇気を振り絞って夢へと踏み出しました。
その事実は、決してなくなりません。
そんな彼女なら、夢への想いを固めた彼女なら、きっと諦めずに突き進んで、夢を叶えてくれるのではないか
「夢」の不条理に抗ってくれるのではないか
そう、信じてしまうのです。
ちいさな勇気 ちいさな一歩
重ねてったら星空も 飛べちゃうかもね
「Welcome to 僕らのセカイ」より
これからの物語で、きっと彼女たちは星空にたどり着くでしょう。
みんなを、私たちを、星空に連れていってくれるでしょう。
そこで彼女たちが見せてくれるのはどんな景色か。
なんだか、ワクワクしてきませんか?
さいごに
もちろん、ここで語ったのは私の想いにすぎません。
先の展開なんて、わかりっこないんですから。
これは勝手な妄想と言われても否定できません。
もしかしたら、なんだかんだで澁谷かのんに夢への新たなチャンスが舞い降り、それによって夢を叶えるのかもしれません。
それもまたいいでしょう。
彼女には叶えたい夢があるのだから。
そのためのチャンスがまた舞い降りたならそれを掴むべきでしょう。
そもそも澁谷かのんの夢は「歌でみんなを笑顔にする」という非常に壮大で漠然としたものです。
そのための道を大きなチャンスに縋ることなく自ら切り開く困難なんて、想像もできません。
それを一人の少女に願うというのは酷な話です。
それでも
もしかしたら
ひょっとしたら
あるいは
きっと
澁谷かのんなら
Liella!となら
何かを成し遂げてくれるのではないか
絶対に叶えてくれるのではないか
やっぱり、期待してしまうのです。
勇気を出して夢へと踏み出した彼女は、もう決してちっぽけなんかじゃありません。
「ほんのちょっぴり」
そう言って始まった彼女の物語はここまでたどり着きました。
そんな彼女たちだからこそ
みんなでたどり着いた星空で
奏で始めた夢の先で
きらりと輝く希望を見せてくれるのではないか
できっこないと思えることも叶えてくれるのではないか
夢を掴むために、私を叶えるために、本当に大切な「何か」を示してくれるのではないか
そう、
どうしても、期待せずにはいられないのです。